韓国で海外3G端末の使用が解禁されていた/「IMEIホワイトリスト」について

ハングルでやっているTwitterのアカウントに韓国の携帯電話キャリアKT(旧KTF)から飛んできた、「iPhoneNexus Oneその他海外で購入された端末対象 海外購入端末開通代行サービス案内」についてのtweetにあったURLです。
http://phonestore.show.co.kr/handler/X2PageView?page=/jsp/event/2009/iPhone.jsp
画像なので翻訳サイトを通して翻訳できませんが、かいつまんでおくと、以下のものを用意すればオンラインで手続きが可能なのだそうです。

  1. 「放送通信機器認証書」と身分証
  2. 端末のIMEI(端末識別番号)とシリアル番号
  3. KTのUSIM(新規加入の場合。機種変更なら不要)

これは海外端末SamsungとかLGとかの逆輸入品も該当するでしょうが)を韓国内で使うための「個人電波認証」という手続きを簡素化(KTのオンラインショップが代行)するサービスです。つまり、韓国では所定の手続きさえ踏めば海外端末が堂々と使える、ということです。
いつからそうなったのか調べてみたところ、去る2009年8月頃までに韓国でW-CDMA(HSPAを含む)をサービスしているSK Telecom(SKT)、KTともにこの手続きを制度化したようです。きっかけは当時韓国で未発売だったiPhoneを海外で入手したユーザーからの強い要望だったようです。注意事項として、1) 課金基準が異なる可能性があること 2) MMS等、一部のサービスが利用できないこと 3) ネットワーク品質(相性)の保証はしかねること が書かれていますが、基本的にどんな海外端末でも認証してくれるようです(iPhoneだけは豪州・香港・イタリアでの購入品に限るとありますが、これはこれらの国で購入したものであれば最初からアンロックだから、という意味ですよね。JB済みでもOKかどうかについては調べていません)。それと、APNやMMSサーバーの設定もSKT、KTともに設定値が公開されているようです。
しかし、日本を含む他のほとんどの国ではキャリア側からこんな手続きは求められないわけでして、どうしてこんな七面倒くさい手続きが必要なのか、ちょっと調べてみたところ…
現在、韓国ではW-CDMA端末のIMEIの国家への登録が義務づけられていて、基本的には各キャリアにIMEIを預ける形で運用されていますので、キャリアは自社のIMEIデータベースに登録されていない端末からのネットワーク接続を拒否することになっています(インバウンドローミングで海外キャリアのSIMを使って接続された場合は別)。正規に流通している端末は最初からIMEIがキャリアに登録済みですが、輸入端末を使うには、前述のようなキャリアへのIMEI登録手続きが必要となるわけです。
これは「IMEIホワイトリストと呼ばれ、こうした規制を行っている国は世界でも韓国以外にトルコだけだそうです。
こんな面倒な規制が導入されているのは準戦時国(朝鮮戦争終戦ではなく休戦中ですので)である韓国における危機管理の必要上からだそうですが、さすがに海外端末の多いスマートフォンのユーザーの間では評判が最悪のようで、ネット上では廃止運動も展開されています(なので今日のようにTwitterを通じて海外端末登録制度の周知を図っているのでしょうけど)。
しかし、ホワイトリスト規制こそないものの、海外端末の国内SIMカードでの使用が未だに電波法違反だという日本に比べれば、海外端末の使用が制度化され、適法状態となっただけマシな気もします。
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ちなみに韓国の3Gでは他にも面倒なことがあります。韓国では端末のSIMロック(유심락=USIMロック、ハングルで書くとまるで人名…)自体は2008年3月に原則廃止となったのですが、ネットワーク側では今も最長2ヶ月(加入月の翌月末まで)の機種変更制限をかけていて、この期間が経過するまではSKTのUSIMをKTの端末に挿したり、その逆を行ってもネットワークには接続できない仕組みになっています。しかも、期間満了後も制限は自動的には解除されず、「USIM移動」という手続き(オンラインで可)を経る必要があるそうです。KTから市販されているiPhoneは、この手続きを経ればSKTのUSIMでの使用が可能となります。
この機種変更制限は今年の3月末までで廃止されることが先日発表され、ようやく韓国でもUSIMの単純な差し替えだけでどんな端末でも使い分けられるようになるわけですが、ホワイトリスト規制のほうは継続だそうですので、前述の個人電波認証手続きは必要なままです。
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そういえば、よくよく考えてみると日本にもIMEIホワイトリスト方式が導入された(らしい)例が存在しますね。T-01AHT-03Aから導入された、ドコモのスマートフォンパケット定額通信プラン「Biz・ホーダイ」シリーズ専用のアクセスポイント「mpr2.bizho.net」。規制方式について公式な説明はありませんが、端末のIMEIを確認してドコモに登録済みかどうかを判別し、接続を許可または拒否する仕組みだそうですね。