SBSからもストリーミングラジオアプリ「ゴリラ」のAndroid版

KBS(DLはSK TelecomのT storeからのみ可能)の「R-2 player」、MBC「mini」に続いて韓国の3大ネットワークでは最後となるSBSのストリーミングラジオアプリ「ゴリラ(Gorealra)」のiPhone用とAndroid用が相次いでリリースされています。Androidマーケットから「SBS」で検索すれば、すぐに見つかると思います。
このゴリラAndroid版がリリースされたのは先週の木曜日、16日のことだったのですが、当初上がってきたのは2重起動や異常終了などの不具合だらけで、かつ独自のアイコンすらないα版レベルのものでした。その後怒濤のごときバージョンアップが10数回にわたって繰り返された挙げ句、安定してきたと判断されたのか、本日の時点で正式アナウンスとなったようです。
Love FM(同名の福岡の局とは当然ながら無関係)こと標準FM(FM 103.5MHz/AM 792kHz)、音楽専門系統のPower FM(FM 107.7MHz)の2局がストリーミングで楽しめます。


他のアプリと同様、番組表や選局表(オンエア曲リスト、MBCと異なり標準FM系統でもリストが出る)、チャット(「共感ログ」というメニュー名)機能もあります。ただ、韓国内で普及しているGalaxy SやHTC DesireなどWVGA以上の解像度を持つ端末でのみチェックしているためなのか、HT-03Aでは環境設定の画面の左が欠けてしまいます。ログイン(SBSのサイトIDを持っている人用)、3G接続許可、タイマー設定などがありますが、文字列が欠けていても操作は可能で、それぞれの操作画面での表示は正常です。
SBS系列のラジオは、これまでWindows Media Audio(WMA)形式で配信されている地方局のうち、ストリーミングのURLがわかっている局については以前紹介した「Any Radio」の裏技的利用法で聴くことができていたのですが、基本的にPower FMの中継+ローカル番組なので、Love FMのほうをAndroid端末で聴く手段としては、このゴリラが初めてとなります。
ちなみにゴリラではPC用を含めてWMAではなく、H.264オーディオをRTSPで配信しているようです。ビットレートは80kbps程度のようです。
ところで韓国の「標準FM」というのは、本来中波帯(AM)で開局したラジオ局がFMでサイマル放送することをいうのですが、最近はこのSBSのLove FMやKBSのHappy FM(旧TBC東洋放送のAM系統に由来する第2ラジオ)のように、愛称に堂々と「FM」が入るケースも出てきています。韓国ではポータブルオーディオでもアナログカセットプレイヤーの末期(1995年頃)からFMラジオしか入っていないものが登場していて、AMで放送していた局の大半がFMでもサイマル放送を開始し、KBS第2ラジオの全国ネットがFMで整備され、新局もFMでばかり開局している現在では、もはやAMは絶滅寸前といってもよいかもしれません。
AMを主体とする系統としては、障害者・疎外階層向けを謳い、以前第2ラジオを放送していた中小電力局で流されているKBS第3ラジオ(愛の声放送)のみが残っていますが、今春ソウルではFMでも開局しています(その少し前に日本の文化放送と混信することで有名な500kW局の1134kHzが、北朝鮮向け放送から第3ラジオに転換し、元の50kW局の639kHzが廃止に)。ただ、元のAM局が廃止になった例はほとんどなく、第2ラジオの大電力AM局である603kHz(500kW)や558kHz(250kW)も今も送信を継続していて、日本でも前者は夜間全国的に(関東は隣にNHK第1東京がいますが、電波が強いので選択度がそれなりのラジオなら都内でもOK)、後者も西日本で同波のラジオ関西の弱い地域では聴けますので、AMラジオから「Happy FM」という局名告知が流れてくる違和感を実際に確認することができます。
ちなみに、標準FMは韓国の、とくに南北の軍事境界線に近いソウル中心に、北朝鮮からの韓国AM放送への妨害電波(北朝鮮の住民に韓国の放送を聞かせないことを目的としたもの。韓国でも北朝鮮の大電力局対象に同様の妨害が行われています)対策として整備された経緯があります。日本でも韓国や中国AM局との混信対策を目的に、富山県北日本放送(KNB)や沖縄各局の中継局でAM局のFMサイマル放送が行われていますが、来年のアナログTV停波を機に、VHF帯アナログTVのCh1〜3(90〜108MHz)音声受信用としてかなり普及している「FMワイドバンド」を生かして、この空きとなる帯域をAM局のサイマル放送用に割り当てたらよかったのに…と思ったりもします。ただし、夏季はEスポによる中国局などの混信が物凄くて、使い物にならない可能性もありますが。