NAVERデジタルニュースアーカイブ

http://dna.naver.com/
NAVER」や「ハンゲーム」で知られる韓国最大のインターネットサービス企業「NHN」社が2009年4月から運営している、過去の新聞記事をイメージ閲覧・全文検索できるサービス。以下「DNA」と略します。
DNAは当初、東亜日報・京郷新聞・毎日経済新聞の3紙について1976年から85年までの記事が対象だったのですが、現在は1960年から1999年にまで収録期間が拡大されています。最終的にはさらに遡って、1920年東亜日報から検索できるようになるとのこと。
これまで無料・会員登録不要の新聞記事データベースとして国史編纂委員会の「韓国近現代新聞資料」や韓国言論振興財団運営の「KINDS」などが提供されてきましたが(有料・要登録のものも含めると朝鮮日報の「DB朝鮮」などもあります)、DNAは最後発だけあって、従来のデータベースにはないユニークな機能をいくつも備えているのが特筆されます。
日本で新聞の記事データベースや縮刷版のデジタルアーカイブは基本的に有料サービスで、無料で利用するには大きな図書館などに行く必要があるわけですが、韓国では国史編纂委員会やKINDSなどのWebサイトで、誰でも無料で過去の新聞の縮刷版閲覧ができるようになってから久しいです。
とくにDNAを含む各データベースサイトに対し、日本統治時代創刊の2大紙の一角を占め、長い歴史を誇る東亜日報が紙面提供に全面協力していることもあり、いずれも資料性の高いものとなっていますが、国史編纂委員会の東亜日報は1962年末までで終わっていて、それ以降のものはKINDSにあるものの、こちらは1面1ファイルのPDFのため、検索性に劣ります。
DNAの凄い点は収録されている全記事について全文検索が可能なことで、かつ検索対象範囲が記事のみならず、広告にまで及んでいる(ただし広告は商品名、広告主、ヘッドコピーのみ)ことです。ただし、どうやら紙面の取り込みにスキャナとOCRを用いたようで、漢字を中心に一部誤字が混じっていることがあります。ちなみに本文表示は、漢字にハングル訳付きと無しの2種類が選べ、韓国の実状に合わせてか前者がデフォルトになっています。
紙面の画質は国史編纂委員会のものより鮮明で、PDFと遜色のないものです。韓国最大のネットサービス企業が運営しているだけあって、サーバーの応答速度や動作の安定性も申し分ありません。
ちなみに過去の新聞というと、いつから始まったのか不明ですが、日本統治時代の「毎日申報(後に毎日新報に改題)」が検索できるサービスも、KINDSと同じく韓国言論振興財団によって行われています。これもPDFなのですが、資料的に重要度が高いと思われる日本統治時代後期、1935年5月18日から1945年8月14日までの紙面についてはすべての記事にインデックスが付いていて、一部は全文検索も可能となっています。同じサイトからは、ほかに旧韓末の新聞(毎日申報の前身「大韓毎日申報」を含む)や海外の抗日団体が発行していた機関紙なども読めます。ただ「毎日新報」は同紙の後身である現在のソウル新聞が版権を主張していると思われる(発行が従業員自治委員会の手に移った)1945年8月17日付以降は公開されていないのが残念です。