Google 日本語入力

各所で話題の「Google 日本語入力」。公開当日にインストールし、試用中です。
自分がPC上で普段使っているIMEは、未だになんと1998年製の「ATOK12」だったりします。発売直後から使っているので、もう11年になります。Windows 98がメインターゲットだった頃に開発されたIMEなので、今のPC(といっても、こちらも2004年現在の3GHz)で動かすと、非常に高速かつ快適です。とにかく10年以上も使い続けるとすっかり手が馴染んでしまっていて、乗り換える気が起きないんですよね。

で、本題のGoogle 日本語入力ですが、Googleの検索データベースと連携し、新語が変換候補にどんどん入ってくる目玉機能には、正直やはり驚かされました。

おそらく、今後はMicrosoftIMEもBingなどと繋がって同じように進化していくのでしょうね。ATOKはどうするのでしょう。既存のほかの検索エンジンと組んだりするのでしょうか。
ただ、IMEとしての本質的な部分はまだまだだと思います。辞書が新語に強いのはよいのですが、変換効率自体は10年前のATOKにも劣る気がします。変換速度もまだ速くできるでしょうね。あと、個人的には確定後の再変換ができないのが非常に辛いですが、これはいずれ実装されるのでしょう。変換中や設定のUIもまだまだ洗練されていないのは、最初のバージョンなので仕方ないでしょうね。

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日本語変換というのは、少なくとも1990年代の半ば頃まではプロプライエタリかつ稼げる技術だったと思います。ATOK以外にもVJEとかWXシリーズ、松茸、Wnnなど選択肢が多かったものですし、DOSの時代にはもっと種類がありました。ノウハウのあるソフトハウスは挙って参入していたような時代です。
しかし、当初はエー・アイ・ソフト(当時)のWXシリーズの機能縮減版で、そのまま使う人も少なかったMS-IMEが、MS-IME98 (Windows 98)で単品IMEに匹敵するところまで機能が向上したためか、ATOK以外の日本語変換は事実上淘汰されてしまいました。今ではWindowsにわざわざ別のIMEをインストールして使う人自体、かなり少なくなったような気がします。
今から10年ちょっと前、Windows 98が出る直前の頃ですが、韓国のWindowsワープロソフトの日本向けローカライズに関わっていた頃、国内某社から日本語変換エンジンの提供を受けるためのクロスライセンス交渉に携わったのですが、韓国側が差し出したのは「日韓・韓日辞書」でした。個人的には「不平等条約」だなと思ったものです。もちろん、韓国側に分があるという意味です。その位日本語変換に対するリスペクトが自分にはありましたし、世間一般でもあったと思います。
韓国のワープロソフトに日本語変換を内蔵しようとしたのは韓国語OS上で日本語を使いたい人向けで、そもそも前身のワープロソフトが韓国語以外のOSでもハングルが使えるよう、ハングル入力とフォントが内蔵だったことの逆の発想だったのですが、後にIEやOfficeといったMS製アプリ上だけで動く「Global IME」なるものの配布が始まり、さらにWindows 2000以降はOSのインストールイメージに全アプリで使える各国語IMEやフォントが含まれ(つまり日本語WindowsにハングルIME、ハングルWindowsに日本語IMEが)、必要に応じて追加・切り替えができるようになったので、アプリの中に各国語入力を内蔵することは無意味になってしまいました。
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そういえば、今回久々にPC上で新しいIMEを試すということで、一括単語登録をやろうと思ってATOKのユーザー辞書から単語をテキストに抽出したのですが、今ではほとんど使わなくなった懐かしい単語が多数発掘されて面白かったです。パソコン通信時代の知人たちのハンドル、専業ライターとして原稿を書いていた頃の懐かしいPC用語(特にOS/2関連)や技術用語、PC-VANの「OLT」やNIFTY-Serveの「RTC」(いずれもチャットのこと)でしか通用しない数々の専門用語たち…そもそもこの辞書は1993年頃、DOS/V用ATOK8から育て始めたものですから。
ちなみにATOKを最初に使ったのは1989年の初代東芝DynaBook (J-3100SS001)のATOK7R(標準辞書はROMに入っていました。RはROMの略です)でしたが、何度もハードRAM(RAMディスク)を飛ばしてユーザー辞書のバックアップが取れていませんでしたので…
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なお、このエントリはGoogle 日本語入力で書きました。普段と勝手が違うので、ちょっとキツかったです。