Google SyncをGoogle Apps Standardに乗り換えてみる

独自ドメインGmailが無料で使えるGoogle Apps Standard EditionでGoogle Syncが普通にできるようになったのを機に、手持ちの各端末でこれまで使っていた普通のGoogleアカウントでの同期をやめて、Appsに移行することにしました。
一昨日のエントリでも少し触れたように、同期の手順そのものは従来と同じで、ActiveSyncで同期できるサービスも「連絡先(Appsのはなぜか「ベータ」扱いですが、機能的にはGmailに付属するものとほぼ同じ)」、「予定表(Google Appsカレンダーとの同期)」、「電子メール」の3つだけで、「仕事」にチェックを付けるとエラーになります。
細かい違いとしては、ユーザー名にGmailアドレスの代わりに独自ドメインアドレス(Gmailアドレスの時と同様、@以下も含む)を入れる必要があるのと、最初の同期開始時にセキュリティポリシーの適用を求めるメッセージが出ることの2つがあります。ポリシーは一度承認すればOKです。
ハマったのは連絡先の同期です。先に書いておきますが、端末側の連絡先はお使いのバックアップアプリで事前に必ずバックアップを取っておきましょう。
まず、Appsのほうの連絡先にまだ何も入っていない状態で端末を同期させてみたところ、端末上の連絡先がすべて消えてしまいました。Appsでない通常のGoogleアカウントでのGoogle Syncでは、そんなことはなかったように記憶しているのですが。もしかしてこれこそ「ベータ」たる所以なのでしょうか。
次にGmailの連絡先からエクスポートし、Apps側にインポートしてから同期させてみたところ、WM側の連絡先には姓と名がくっついた状態(スペースなし)で登録されていました。そもそもGmail/Appsともに、氏名のフィールドは姓と名が分かれていませんし、編集して保存すると「カスタムフィールド」に入っているフリガナ(こちらは姓名が別々)が消えてしまったりして、困りものです。端末側で編集する分には問題はないのですが、多数の連絡先をいちいち修正するのは面倒、大変な手間ですからね。
結局、Apps側の連絡先をいったん空にした後、Sprite BackupのバックアップファイルからPIM.vol(連絡先等が含まれるファイル)だけを書き戻し、再同期させてみたところ、どうにか元の状態に戻りました。ただし、AppsでないGoogle Syncでも同じなのですが、姓と名の間に,(カンマ)が入った状態になります。前述の通り、Apps側で編集するとデータがおかしなことになりますので、連絡先の追加や修正は端末側で行うほうがよいようです。
WM以外にX04HTで動かしているXDAndroid(Android 2.1相当)でも、登録済みの既存のGmailアカウントに加え、独自ドメインアドレスをマルチアカウントとして登録し、Gmailアプリで2アカウントの同時プッシュ受信ができました。Androidでも先のWM端末でのセキュリティポリシー適用承認と同様、自動同期を有効にするには一度手動で同期させる必要がありますが、それだけです。Android 2.xでは他に標準メールアプリでExchangeが使えますので(端末ベンダーによって無効にされていない限り)、GmailではなくExchangeアカウントとして設定することもできます。
プッシュが必要なければ、普通にPOP3とかIMAP4のアカウントとして設定するのもありです。通常のGmailと同様、Google AppsIMAP IDLEに対応していますので、AndroidのK-9 MailとかではIMAPで設定してプッシュ受信することも可能です。
以上で、WMでもAndroidでも晴れて独自ドメインメールがプッシュ受信できるようになりました。なお、カレンダーの同期については特に問題なくできるようですし、連絡先の同期も最初の端末で消滅→バックアップから復旧→再同期でクラウド側に保存完了後、2台目以降では正常にできました。
ちなみに昨日1日、2年ぶりぐらいにDirect PushをオンにしてX02HTを使ってみたのですが、通信オフで使うのと比べると、やはり確実に電池の消費は増えますね。その間、10通ほどのメールを受信し、ブラウザやTwitterクライアントを1時間程度使いましたが、この条件でぎりぎり1日持つかどうかというところです。やはり常用するならSMSトリガー方式のプッシュメールに限りますね。ただし、普段はプッシュオフでも必要に応じてプッシュを有効にできるというのは、やはり便利だと思います。あと、端末がAndroidならどうせ常時通信ですし、最近の端末は筐体も電池容量も大型化の傾向にあるので、もうちょっとマシかもしれませんね。X04HTより新しい端末を常用したことがないもので、実際のところはよくわかりませんが。
ところで、実は数年前、自分で小さな会社をやっていた頃の話なのですが、Microsoft Exchange Serverによる個人や中小企業向けのホスティングサービスというのを事業化しようと企んでいたことがあります。必要な知識、技術、人材、資金とすべてが不足していた上、Exchangeのライセンス料の関係であまり安く提供できない(現存する国内のホスティングサービスでは、どんなに安いところでも月に1,000円近く取っていますが、それが現状では下限ということです。もちろんExchangeはメールだけではないですが)ので採算も取りづらい、ということで完全に諦めてしまったのですが、そのぐらいメール自体に制限がなく、どんなに長いメールでも巨大な添付ファイルでもやりとり可能なスマートフォンでのプッシュメールに魅力を感じていて、何とか世に広めるお手伝いをしたいと考えていたわけです。
それが、今ではGoogle Syncのおかげで、自分のやりたかったことが無料ないしは超低コストでできるようになってしまいました。Gmailのアドレスであれば完全に無料、独自ドメインでも非常に安上がりで、Exchange相当のDirect Pushによるプッシュメールをはじめ、クラウドのカレンダーやアドレス帳と同期できるわけですからね。つくづくGoogleって太っ腹で凄いなぁと思います。無理して事業化しなくてよかったです。
そういえば、JASJAR(HTC Universal)を買った際に付いてきたClub i-mateのExchangeアカウントが、i-mateという会社自体は昨秋までに廃業してしまったはずなのに、今なお稼働し続けています。Exchangeアカウントとしての使用をやめた後はもっぱら普通のPOP3アカウントとして、海外の掲示板サイトにいくつかこのメアドでサインアップしたり、メルマガ的なものの購読にも使っていたので、今もメールは届き続けています。i-mateの本社があったドバイのプロバイダーを借りていたようですが、契約期間がまだ残っているのかもしれません。ただし、なぜかメール送信だけができなくなっています。メンテする人がいなくて放置中なのでしょうか。