auからスマートフォン「IS01」/「IS02」

本日午前、KDDIより一般ユーザーを対象としたスマートフォンのラインナップ「IS series」が発表されました。Android OS 1.6採用の「スマートブック」ことシャープ製「IS01」と、先月のMWCで発表された「K01」の日本版かつCDMA2000版と思われるWindows Mobile 6.5.3端末・東芝製「IS02」の2機種です。発売は2月に予告された通り、6月以降。
http://au-is.jp/
最初、どこからどう見てもネットブックにしか見えないIS01の写真を見て、第一印象は「こんなの誰が買うの?」でしたし、実は3月中旬から流れていた「30日に発表されるauスマートフォン」とされるリーク写真は正にこの機種に他ならなかったのですが、それを見てもネタ写真にしか思えず、にわかには信じがたかったものです。ただ、よくよく考えてみればスマートフォンに求められるのは通話よりまず通信、ブラウジングやメッセージングだと思いますし、5インチ液晶とQWERTYキーボード搭載の「ブック」、これはこれでありかな、という気もしてきました。
スペックはよいと思います。Snapdragon 1GHzですし、昨日からネット上を賑わせているXperiaの「マルチタッチショック」(そのせいか、Xperia関連のキーワードでここを訪れる人が突如激減!)の直後にマルチタッチ対応を公言。しかもキャリアメール(@ezweb.ne.jp)に8月に、LISMOにも9月に対応予定だそうです。ワンセグも載っているのでカフェやファストフード店でテレビを見るにもちょうどよいですし。
ただ、通話は端末を開いてハンズフリーか、またはイヤホンマイクかBluetoothヘッドセットを使うそうで、端末を直接手に持って通話することは想定されていないようです。通話頻度は低いとしてもこれはきついのでは。

ネット上での評判も今ひとつ芳しくないようですが、その形状や「スマート"ブック"」といういかにも重たそうなネーミングもさることながら、デジタルガジェットマニアにとってはシャープ製ということで「NetWalker」が連想され、そのクラスのサイズと重量があるのでは、という印象を抱いてしまう向きも多いようです。気になったので過去の筐体大きめのQWERTY付きスマートフォンや、コンパクトさと割り切った機能が売りのテキスト入力専用デバイスpomera」、それに「情報発信に積極的な20〜30代の女性ユーザー」がターゲットだそうですので、10数年前、若い女性を中心に人気の高かった懐かしの「メール、チャチャチャ♪」の「ポケットボード」最終機種「パレ」ともサイズや重量を比べてみました。

IS01: 83 x 149 x 17.9mm / 227g
初代W-ZERO3: 70 x 130 x 26mm / 220g
HTC Universal: 81 x 127.7 x 25mm / 285g
NetWalker: 108.7 x 161.4 x 19.7〜24.8mm / 409g
pomera(DM20): 100 x 145 x 33mm(閉じた状態) / 370g
ポケットボード パレ: 86 x 167 x 17mm / 146g

NetWalkerと比べると一回り小さい上に、重量はほぼ半分。ポケボーと比べても重さはともかく、容積は小さいです。手に取ってそのまま通話のできる初代W-ZERO3やHTC Universalとの比較でも大差なく、液晶がワイドである分やや幅が広いのみ。回転2軸ヒンジや初期3G端末ゆえの複雑な回路構成のおかげで重かったUniversalと比べて、実に58gも軽量。これはぜひともあと一歩コストをかけて、回転2軸にして通話しやすいようにしてほしかったところです。閉じた状態でのタッチ操作にも便利そうですし。2台持ちしやすい料金プランの工夫と併せて「auユーザーの2台目狙い」という割り切りのもと、コストダウンを最優先したのかもしれませんが、もし普通に通話ができたなら、他キャリアのユーザーにも買ってもらえたり、MNPで移ってこれ1台で持ちで使ってもらえる端末にもなりえたのでは?
そんなIS01、たぶん売れないでしょうし、売れないであろうことはKDDI側もひょっとしたら折り込み済みなのかもしれませんが、auで初、日本でも発表順でまだ4機種目のAndroid携帯電話として、最初に出す機種がこれ、というのはいかがなものかと思います。一方でいろいろ調べているうちに、個人的には結構興味が湧いてきたというのも不思議だったりしますが。
もう1機種、IS02の方は日本のWM端末市場において代表的な形状といえるスライドQWERTYですし、静電容量式タッチパネルを搭載し、QWERTY付きとしてはかなり薄い厚み12.9mm、かつ国内初のWM 6.5.3端末ということで目新しさがある一方、IS01と違ってキャリアメール対応はないようですし、秋冬商戦向けの次のISシリーズ端末もAndroidで、しかも「おサイフケータイ」などにも対応するそうですので、auから個人向けを謳ってWM端末が投入されるのは、ひょっとしたらこれが最初で最後になるのかもしれませんね(そういえばヤマト運輸向けのヘビーデューティWM端末は?)。ネット上の反応を見た限りでは話題だけはそれなりに集めているIS01と比べ、注目度の低さが残念ですし、KDDIもIS02にどこまで注力しようとしているのか、今ひとつ見えてきません。
ただ、Android限定ながらキャリアメールをはじめとする数々のキャリア独自(いわゆるガラパゴス)サービス対応に取り組もうとするKDDIの姿勢と、それを他社に先駆けて公式に宣言したことは、今後の国内スマートフォン市場に一石を投じたと思います。あと、こちらはメーカーであるシャープから直接という形ですが、OSの入れ替えが可能(最初からrooted?)というIS01ベースのAndroid開発者専用端末「JN-DK01」のリリース(しかも2010年5月以降でauでの発売よりちょっと早い)、画期的です。なるほど、実機上の開発・検証用には手頃なサイズですよね。