BeeTV

先週3月4日の夜(5日未明)、テレビ朝日の深夜番組「お願い!ランキング」を見ていたら「BeeTVのドラマ人気ランキング」というのをやっていて、ランキングのほうはともかく、昨年5月1日の「開局」から10ヶ月を迎えた有料動画配信サービス「BeeTV」の会員数が93万人と言っていたことにちょっと驚きました。
BeeTVエイベックス通信放送(株))はエイベックス(70%)とドコモ(30%)の合弁ですからドコモ専用な上に、iモード契約者4875万人(2月末TCA統計より)中の93万人なのでまだユーザー全体の2%にも満たないわけですが、ケータイでの有料動画配信に\315/月を払っている人が100万人に迫りつつあることに驚いたのです。コンテンツもターゲットもサービス体系も料金も異なりますが、より多くのプラットフォームに対応しているニコニコ動画のプレミアム会員(\525/月)ですら昨年12月時点で60万人だそうですから。
わずか10ヶ月で100万人近くまで会員数が急増した背景には、どうやらケータイ販売店で近年増えている、新規契約や機種変の際に値引きの条件(店側には獲得インセンティブが支払われるので)として加入させられる有料サイトの中にBeeTVが含まれることが多かったり、あとググってみるとドコモショップ用のBeeTV専用アフィリエイトシステムのプレスリリースとか、某有名ゲーム系SNSサイト経由で加入するとそのサイトの仮想通貨(ポイント)がもらえるとかの話(後者はつい最近、BeeTVの親会社所属の某アーティストの売り出しに使われたという手法にそっくりですが…)もあったようですが、自ら進んで加入している人が相当数いない限り、短期間にこれだけ増やすのは難しいものと思われます。
テレビCMもこれ関連のものが以前にも増して多くなっていますし、主な収入源である月額情報料(あとはコンテンツの二次使用料。フジテレビでBeeTV用に制作されたドラマが放映されたことがありましたが、あれとかですね)も月間3億円程度は入ってきている計算になりますので、ひょっとしたら儲かってきたのかもしれませんね。
で、BeeTVに限らず有料動画配信系のCMを見るたびに、どうしてスマートフォンをサポートしないのかな、と常々思うわけです。少なくともBeeTVは\315さえ毎月払えばパケ代負担だけで見られ、見ようが見まいが\315ポッキリという非常に明確な料金体系なので、個別コンテンツに対する細かな課金システムがスマフォの中に存在している必要すらないのですし。
iモードと違ってスマフォは動画配信方式がバラバラな上に(BeeTVでも対応機種・サービスに応じて大別して2種類あるそうです。もし機種ごとに解像度やビットレートを最適化していたりすると、もっとありそうですが)、キャプチャというかコピーされる可能性もあるので避けているのだろうとは思いますが、複数フォーマットでの自動エンコードとかDRMとかは、いろいろやり方があるでしょうし。
ドコモから見ればBeeTVはコンテンツの囲い込みに加え、iモードユーザーのARPU獲得策としての存在が大きいでしょうし、スマフォユーザーのARPUはもともと高いので需要喚起策は必要ないのかもしれませんが、リッチコンテンツ(をパケットを使って消費する行為)への関心が平均してiモードよりも高そうなスマフォユーザーを取り込むことができるようになれば、BeeTV自体の会員数を増やす上でも効果的なのではないかと。販売店でもスマフォに付けられる獲得インセンティブが1つ増えてメリットがありそうですし、スマフォでも見られるのだとわかってスマフォ購入のハードルが1段下がる人もいるかもです。
まあ、仮にもしドコモにiPhoneがあって、かつSBM並みかそれ以上に売れていたなら、今頃はiPhoneBeeTVが開始されていて、並行して他のスマフォでもサービスされていたのかもしれませんけどね。
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最後にスマフォとは関係ない話ですが、この先、BeeTVが会員を劇的に増やすには、やはりジャニーズ関連のコンテンツが必要なのかな、と思います。想定ターゲット層(やはりF1層だそうで)が最も見たがっているコンテンツでしょうから。でも、ジャニーズ事務所は相変わらずネット全般に消極的(最近は写真使用を部分的ながら許諾したり、NHKオンデマンド紅白歌合戦再配信に同意したり、ファン向けの会員制サイトで試験的に動画を配信したりと、以前よりはやや軟化してきているようですが)ですし、難しそうですね。
あと大手では吉本興業も不参加ですが、上場廃止後に間接的ながら大株主となったソフトバンク系が囲い込んでいる状態なので、よほどのことがない限り無理そうですね。時間が長くて(1本あたりは長くても7〜8分だそうですが、連続物が多い)トラフィック負担の大きそうなドラマの配信より、比較的短時間で視聴者を満足させられそうな「お笑い」に注力しているというのは、いかにもソフトバンクらしいと思います。