デュアルネットワークとマルチSIM

昨日、Twitterで「マルチSIM」についてのつぶやきが交わされているのを見ていて「デュアルネットワーク」という言葉を久々に思い出しました。
NTTドコモFOMAがサービスインした頃、圧倒的なエリアカバー率を誇っていたmova(といっても、地下エリアなどの充実ぶりは今のFOMAに劣っていたと思いますが)と比べ、郊外はもちろん都心でもはっきり体感できたエリアの狭さという弱点をとりあえず補い、なかなか進まなかったFOMAへの移行を促進するために導入されていたのが「デュアルネットワークサービス」で、movaFOMAを1契約・1番号で使い分けられるようにするというものです。
切り替えは特番「1540」に掛けて「ネットワーク暗証番号」を入力するか端末からの操作で行い、月額料金は\315(税込)でした。1台にW-CDMAPDCの2方式を内蔵し、FOMAのエリア外では自動的にmovaに切り替わる「N2701」というデュアルネットワーク専用端末も用意されていたものです。
自分は2003年10月からFOMA P2102Vを新規契約で使い始め、その頃周囲でも何人かのmovaユーザーがFOMAに変えたのですが、自分以外の全員が全員、デュアルネットワークを契約していたものです。movaからFOMAへの世代交代が事実上宣言された2004年初めの900iシリーズ発売の頃もなお、山手線沿線でさえ圏外になる地域が残っていたほどでしたから。その後FOMAプラスエリアの導入も含めてエリア拡張が進み、新規の申し込みは2009年3月末で中止されました(サービス自体はmova停波まで継続)。
で、過去にはエリアの事情、現在はキャリアの提供するサービスの違いと、ポイントは異なるものの、今のスマートフォンと通常端末との格差は、過去のデュアルネットワークの需要が高かった頃のmovaに対するFOMAと似た状況にあると思います。現在のところiモード.netやアプリなどの力を借りずに通常の方法でiモードメールを使ったり、おサイフケータイワンセグiコンシェル、各種のiモード専用コンテンツ(BeeTV関連のテレビCMがこのところ凄い量ですが…)のようにスマフォへの導入可能性がないか、または極端に低いサービスについては、FOMAカードの差し替え以外に利用する手がない状況です。
と、いうわけで、当面の解決策として、海外のキャリアで行われているマルチSIMカードサービスの導入という形でのデュアルネットワークの復活はありだと思います。着信先の切り替えはアクティブにしたい端末から1540+NW暗証でよいとして、アクティブな端末がそれぞれの受信できないほうに切り替わっている間に到着したiモードメールやmopera Uメールをどう扱うかとか、着信しない方でのパケット通信をどうするかとか(できればいずれも同時にできるのがありがたいですが、メールについては片方だけで受信して切り替え後にもう一方をまとめて受信とか、片方はSMSでの通知にするとかも考えられますね。それら全部をサポートして選べたりすると最高)、検討すべき課題はいろいろありそうですが、実現にあたって最大の懸念事項になっていたであろう、スマフォと通常端末のパケット定額制体系の違いについては4月1日以降の統一で解消されるわけですし、やるなら今だと思うのですが。料金や手数料は今のデュアルネットワークの月額やFOMAカード発行手数料でよいと思います。SIMの枚数は何枚でもOKなら理想的ですが、メールの扱いを考えるとメイン+サブの2枚でも仕方ないかもしれません。というか2枚でも全然いいです。スマートフォンフィーチャーフォン(あえて)用サービスの両方の利用促進や、データARPUの向上にもつながると思います。
iモード+スマフォの組み合わせ以外にも、iモード+iモードとかスマフォ+スマフォもありだと思います。iアプリ対応などの関係で前の端末を引き続き使いたいというニーズもあるでしょうし、スマフォを複数台持ち歩く人は契約の数やSIM入れ替えの手間を減らせるでしょうし。まあ、スマフォのなかったデュアルネットワーク開始当初と比べ、選択肢が増えていろいろ大変そうではありますが、ひょっとしたらiモードメールをスマフォ用に移植するより、技術的にもコスト的にもセキュリティ的にも楽だったりしませんかね(もちろんiモードメールのスマフォ対応は引き続き進めてもらいたいところですが)。
以上は過去にデュアルネットワークを提供していたドコモを例にとっての話ですが、当然SBMとかauとかイーモバとか、USIM/UIMカードを使うすべてのキャリアで実現しうるでしょうし、ぜひとも提供してほしいサービスです。