チラ裏: スマートフォンはハイエンドか?

2007年末のケータイ界最大の話題は、その圧倒的なスペックと「バリュープラン」の値頃感によって年末商戦で圧勝した(といっても機種変更が多いようで、必ずしも純増数には結びついていないようですが)ハイエンドシリーズのドコモ905iだったようです。安さを前面に出して快進撃を続けるSBMはともかく、目にも明らかな新機種のローコスト化と新UI搭載機の投入の遅れ、それに料金プラン設定で躓いたauは失速してしまいました。やはり日本のケータイユーザーのハイエンドに対するニーズは根強いようです。
905iのハードウェア面でのスペックは、ものすごいものがあります。FeliCaワンセグなど海外製スマートフォンが搭載しづらい旬の機能をはじめ、GPS、500万画素クラスのAFカメラ、WVGA液晶といった国産ハイエンド機ならではの仕様に加え、905iではついにGSMローミングまでもが標準機能となってしまいました。
ところで、キャリアの月刊カタログ、中でも通常端末とスマートフォンが並んで掲載されているSBMのそれを見ると、比較表の「○」の数ではスマートフォンは大いに見劣りしてしまいます。項目の中身はスペックではなく対応サービスがほとんどだったりするので仕方ない面もありますが、スマートフォンについて予備知識のない人には、低機能ないしはローエンド相当の機種としてしか理解されていないかもしれません。
それでも以前はスマートフォンはハードウェア性能では勝っていると思っていましたが、もはやそうとも言えなくなりつつあるようです。たとえば内蔵メモリは正確な容量を公開しているキャリアやメーカーは少ないものの、ハイエンド機種では今や1GB以上のストレージを積んでいるものも少なくないようです。グラフィックアクセラレータもスマートフォンの一部に搭載されているGoForceなどは、通常端末のそれに負けず劣らないポテンシャルを秘めていると思うのですが、ドライバやアプリがまともに対応していない状態で、これもiアプリDXなどを通じてネイティブに近い対応が図られている通常端末に分があります。スマートフォンが平均して勝っているのは、おそらくCPUのクロック周波数ぐらいではないかと思いますが、これも詳細は不明ながら、最近のハイエンド通常端末ではスマートフォンと同等のところまで来ているようです。
もちろんスマートフォンにはデータ転送容量やファイルサイズに制限のない通信、ネイティブアプリケーションの実行環境、無限に近いカスタマイズ性、そして(特にWindows Mobileについて)PCとの親和性の高さといった通常端末にはない自由かつハイエンドな世界が拡がっているわけですが、そもそもスマートフォンの価格設定は、どのキャリアでも通常端末より高めに設定されている上、スマートフォンを利用するためのパケット接続料金も、定額ながら通常端末用のそれより高額です。
そのあたりにハイエンドとしての価値を見出せるユーザーをどれだけ掘り起こせるかがスマートフォン普及の鍵を握るわけですが、しかしながら本日現在、キャリアも端末メーカーもどこまでスマートフォンを本気で周知させて行こうとしているのかが、今ひとつ伝わってきません。Microsoftはそれなりに広告費を注ぎ込んで印刷媒体や車内広告等でも展開していますが、空回りしている感じですし、何よりも訴えている内容がハイエンドとは程遠い気がします。
スマートフォンの市場は、効果的な啓蒙次第でまだまだ拡げられると思います。とにかくスマートフォンとその世界観についてハイエンド感が伝わるように工夫するだけでも、市場の反応は大いに変わってくることでしょう。月刊カタログで見開き程度にでもスマートフォンについてページを定期的に割いてもらえるなら、それなりの啓蒙はできそうな気もするのですが…
まあでも、可能ならスマートフォンにもAFカメラと内蔵GPSVGA以上の液晶ぐらいは奢ってほしいところです。KaiserがVGAになればその条件を満たしますが現実はそうではないですし、個人的にはStandard (MS Smartphone)でそういう機種がほしいところなのですが、そういうStandard機もまだないですし。その上でワンセグとかFeliCaとかも載ってくるならば、本当に1台で済ませられそうなのですが。