キャリア選びについてのチラ裏

年末に約1年ぶりに契約してW-ZERO3/[es]+赤耳でしばらく使っていたウィルコムでしたが、目的(本業絡み)を果たしたので解約することにしました。通信費削減のためでもあるのですが、あまり使わなかったのが最大の理由です。W-OAMは対応基地局のエリア内にいる限りかなり使えると感じましたが、速度は当然として、ハンドオーバーなどもまだまだセルラーには劣ると思いますし、そもそもすべての基地局W-OAMに置き換わるには、数が多い分、それなりの時間がかかるでしょう。もっとも、通常の携帯と別にデータ通信中心のサブ端末を持つにはよい選択だと思っています。

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イー・モバイルEM・ONEは、発表当初こそかつてのW-ZERO3登場前後を思い起こさせるほどの盛り上がりを見せましたが、エリアの狭さや1年後音声サービスが開始されても電話として使えないこと、そしてUSIM関連の制限事項などが浸透するにつれ、熱が冷めてしまったような気がしますね。サービス開始まであと1週間となりましたが、個人的には様子見ですね。サービス開始が昨年の夏あたりだったら飛びついていたかもしれませんが。

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スマートフォンのリリース予定が明らかにされておらず、スマートフォンユーザーの間ではあまり人気のないau。以前ぼくもグローバルパスポート端末A5505SAを発売日に購入し、1年ほど使っていたことがあります。エリアや「EZナビウォーク」、「着うた」系などのキャリア固有サービスは他社と比べてもかなり充実していると思いますし、端末もデザインについては最近いろいろ言われているようですが、携帯電話のアクティブ&ヘビーユーザーたる10〜20代の好みをうまく汲んでいると感じます。
かつてWAP 1.0 (HDML)時代、というかauが絶不調だった頃の「EZweb」はキャリアのコンテンツサービスとして明らかに他社に遅れをとっており、世間での序列も旧J-フォンの「J-SKY」より下*1でしたが、その後のWAP 2.0化や「着うた」以降の大躍進を経て、今ではコンテンツの量や質でもiモードに負けず劣らないものになったといえるでしょう。「端末ラインナップ+キャリア提供のサービス+インセンティブ」という日本型の携帯電話サービスで比較すると、auMNPで1位になれるだけのものを提供していると思います。実際、自分の周囲でもMNPauに乗り換える人が続出していますし。あと、モバイルblog界でも「通話と携帯メールだけはau」という人が結構多いように思います。
かくいうものの、ぼくがauを再び契約する意思は、今のところゼロです。海外端末を持ち込んで使える余地がなく、もともと自分の趣味には合っていない上に、海外に持って行ける端末のほうも長い間新製品が出ていません。auを持つ唯一の理由だった韓国ローミングも、韓国のW-CDMA全国網完成によりアドバンテージがなくなってしまいましたので。

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日本の携帯電話産業、とくに端末の国際競争力が低下した元凶は、ひとつは結果的に日本独自規格となってしまった不運の「PDC」、もうひとつはキャリア各社のクローズドなコンテンツサービス、中でも国内的には最大の成功を収めてしまった「iモード」にあるといえるでしょう。
そんなPDCiモードに代表される独自規格や非関税障壁の印象の強いドコモですが、NM850iGをめぐる地方ドコモ幹部の発言がイシューになったこともあった一方で、FOMA M1000hTc Zといったmopera U端末のように、ボーダフォンソフトバンクモバイルと比べても制限の緩い機種を出している一面もあります。一般端末についても、ドコモはauのように(U)SIM/UIMと端末を紐付けする方式のロックをかけていませんし、ワンセグ端末も初号機のP901iTVではUSIMなしでテレビが見られました。もっとも、独自仕様のおかげでSIMロック解除対策だとかMMSのUA縛りだとかに気を遣う必要がないのが大きいわけですが、端末やサービスの仕様面はともかくとして、個人的には日本で最もユーザーフレンドリーなキャリアはドコモではないかと思っています。
あと、料金プラン変更の柔軟性とかキャリアショップのサービス水準についても、よい印象を持っています。かつて酷評されたFOMAのエリアも、今はかなりよくなったと思います。しかし、その恩恵を受けるのに、国際的にはほとんどない「800MHz対応W-CDMA端末」が求められるのが少し残念です。

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今のところスマートフォンユーザーの立場からは、R4(R2000)以上の基地局100%のW-CDMAネットワーク上に、(一応)国際標準のMMSを採用して3Gインフラを構築したソフトバンクモバイル*2が消去法で残らざるをえないわけですが、(今日現在の、とくに都心部より郊外・地方の)エリアやサービスの安定性・信頼性についての不安が拭い切れていないのも正直なところです。料金プランを月の途中で変更できない、3Gではホワイトプランに従量制データ通信オプションが付けられない、といった他社と比べてサービス面で劣る部分もまだまだ多いです。
ちなみに導入当初議論の的になったスーパーボーナスについては、インセンティブモデルからの脱却、GSM圏型ビジネスモデルへの転換を図る契機という意味からは、決して悪くないと思います(自分で利用するかどうかはさておき…)。

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と、いうわけで、最初に契約したツーカーセルラー東京以来、関東で契約可能な携帯/PHSキャリアアステルを除いてすべて1度は契約したことがある*3自分ですが、幾度かの寄り道を経て、当面はドコモ+SBM(2契約)に落ち着きそうです。

*1:テレビ番組などの公式サイトの紹介でも、J-SKYより後になることが多かったものです。

*2:もっとも、仮にかつてのJ-フォンVodafoneを経ることなく直接ソフトバンクに買収されていたなら、SBMの3Gは今とはかなり違った姿になっていたのでしょうね。そもそもJ-フォン末期に仕様策定されたVGSメールは2Gや他社と同様の独自方式だったわけですし、きっとソフトバンクはその路線に手をつけることなく継承し、海外端末の導入もないか、非常に限られていたものになっていたことでしょう。「冬惨事」とまで揶揄されたTSUNAMIプロジェクトの初代コンバージェンス端末群ですが、あれがなければ今のスマートフォン・フレンドリーなSBMもありえなかったと思います。

*3:ドコPも旧Nパのサービスインの頃から5年近く持っていました。外出先でのみなし音声通信や、32Kデータカード兼用音声端末のパルディオ321Sを盛んに活用していたものです。