ユニバーサルといえば

韓国でテレビ放送が始まったのは1956年5月12日。アジアではフィリピン、日本、タイに続いて4番目だそうです。最初のテレビ局はソウル・鐘路に開局した映像出力250Wの「HLKZ-TV」で、広告 (CM) 収入で運営される韓国初の商業放送局でもありました。商業放送がラジオ(1959年)より先にテレビで始まった国は、世界でも韓国ぐらいでしょうね。
当初は米国RCA社の韓国代理店「韓国RCA配給会社(KORCAD)」による経営で、CM営業の不振による経営危機を経て、韓国日報社の創業主である張基栄が東洋麦酒(現OBビール)と和信産業(日本統治時代に設立された百貨店財閥、1980年倒産)の出資を受けて買収し、「大韓放送(DBC)」と改称しています。DBCになってから経営も徐々に改善し、1日2時間程度だった放送時間は徐々に拡大されて4時間強まで達していた1959年2月、不幸にも局舎火災のためにすべての設備が灰燼と化し放送停止。米軍テレビ局AFKN(英語放送)を借りて毎日30分間の韓国語番組を流しながら復活を目指したものの、結局果たすことなく、1961年の国営KBS-TV開局(12月末)直前、10月をもって正式に廃局となりました。
韓国最初のCMは、放送開始当日に流れたレコード会社「英昌産業(後の英昌楽器)」の「最高の技術、最古の伝統を誇るユニバーサルの割れないレコードが発売されました」というスライドCM(最近は地方局や独立U局でさえもほとんど見かけなくなりましたが、映像の動かないいわゆる「紙芝居CM」)です。「ユニバーサル」はレーベル名、「割れないレコード」とはビニール素材を使ったレコード盤を指すようです。この頃のCMはスライドCMと生CM(スタジオでアナウンサーや出演者が商品を宣伝するもの、日本でもワイドショーなんかで見られるあれ)しかなかったようです。
ちなみに韓国で初めてのCMソングは、長い間1959年開局の韓国初の商業ラジオ局・釜山文化放送で流されていた焼酎「真露」の、通称「真露パラダイス」だと信じられてきましたが、最近になってHLKZ-TVの米国ノースウエスト航空のCMで、スライドとともにCMソングが流されていたことが判明。米国のものをそのまま持ってきたようで、たぶん英語でしょう。純粋な韓国製のCMソングはやはり「真露パラダイス」が最初と考えてよさそうです。
以上、HTC Universalとは全く無関係な「ユニバーサル」の話でした。