韓国のMS Smartphone

韓国では日本と比べてもPocket PCが普及しているようで、中でもPDAフォンが結構充実しています。日本のNTTにあたる旧国営の固定通信業者KTが、世界最大規模といわれる無線LAN網「NESPOT」を展開している関係で、KT傘下の移動体通信業者KTF(CDMA 1900MHz)と組んで、「NESPOT Swing」というPDAフォン向けの移動体との連携サービスをやっていますし、最大手の移動体業者であるSK Telecom(CDMA 800MHz)からも同様なPDAフォンがリリースされています。
端末メーカーはSamsungやLG、Cyberbankといった地元企業に加えて、韓国HPでもiPAQブランドのPDAフォンを出しています(ブツはLGのOEMですが)。

しかし、Windows Mobileを使った普通の携帯電話型のスマートフォン、いわゆるMS Smartphoneはありませんでした。日本と同じでキャリア主導のコンテンツサービスが展開されているために、MSNやWindows MediaMSN MessengerといったMicrosoft主導のアプリケーションがてんこもりのMS Smartphoneの登場は難しいと思われていました。実際、MS Smartphoneが登場してからすぐにMicrosoftは韓国への導入を画策していたのですが、SK Telecomなど韓国キャリアはMS系アプリの代わりに自社サービス用のアプリを入れることを要求し、なかなか話が進まなかったとのこと。
結局、韓国で初めてSK Telecom用に登場したMS Smartphoneは、日本のiモードにあたるWAPサービス「NATE」やEV-DO専用の動画サービス「June」、メッセンジャー「June Messenger」、有料MP3配信サービス「MelOn」などに対応して、かなりカスタマイズされたものとなりました。

それがこの7月に発売された、最近日本でauへの参入が発表されて注目のPantech & Curitel「PH-S8000T」※注:リンク先はハングル記事※です(もちろんPHSではありません。EV-DO端末です)。見た目はFOMA P900iVのような、回転2軸ヒンジの動画に強そうな印象です。液晶もQVGAを搭載しています。
しかし…愕然としたのはこの記事に対するコメント(韓国のニュースサイトは、大手日刊紙からリンク先のようなネット専門媒体まで、コメントが入れられるようになっていることが多いです)の内容でした。

Media Playerでは普通の動画を再生できない、Juneの動画のみ可能
普通のMP3も再生できず、MelOnから有料ダウンロードしたもののみ再生可能

極めつけは、

MS Smartphone用の(勝手)アプリをインストールすることはできない

もうorz, orz, orzですね。日本では先にも書いたようにMS Smartphoneは当面出ない可能性が高いわけですが、出るとしても、きっとこういう仕様になってしまうんでしょうね。韓国でもW-CDMA網の整備が進んだら、海外端末を個人で輸入したり旅行・出張先で購入して使う人が増えるんだろうなぁ…などと考えながらeXpansysを眺めていたら…なんとeXpansys Koreaが開設されているのを発見してしまいました(まだハングル化されてはいませんが、ちゃんと韓国ウォンでの購入が可能)。さすがですね。