チラ裏: スマートフォン(特にXPERIA)とケータイメール(特にiモード)【長文注意】

【追記 2010/03/24】Xperia iモードメール」で検索して来られた方は、ぜひこちらのもう少し前向きなエントリもご覧ください。
【改訂版】「Xperiaはiモードには対応しておりません」の次善策

個人的にスマートフォンを使って行く上でのテーマのひとつとして「通常端末(いわゆるガラパゴスケータイ)でできることは、できる限りスマートフォンでもできるようにしたい」というのがあります。たとえばauの「FMケータイ」にある「NOW ON AIR」なんかは、今でも欲しい機能です。とりあえずよく聴くFM局はケータイサイトがスマフォからでもある程度見られ、開けば曲目がわかるので今のところ間に合っているのですが、FMラジオ内蔵のスマフォで「EZ・FM」みたいな、サイトを開かなくてもワンタッチでオンエア中の曲目がわかるアプリがあれば、とは今でも思っています。
いわゆるケータイサイトについても、スマフォでの対応が今ひとつ進んでいないネットバンキングとか、ファストフードやファミレス、居酒屋のクーポンとか、あと株やFXの取引、競馬の投票等、ユーザーのニーズはいろいろあるだろうと思いますが、いずれも使えないよりは使えたほうが便利なわけでして、ひと頃「wasabi」に関連するエントリを集中的に投下していたのは、その辺への興味からです。
あとはFlashなんかもそのまま見られれば楽しいでしょうし、着うた(R)/着うたフル(R)とかも通常端末と同じ先行配信ものや限定ものがダウンロードできるようになれば…と考える人も少なくないでしょう。アプリもケータイでできていたゲームがそのまま遊べれば喜ぶ人が多いと思います。それから、コンビニに行ってキャッシュレスでピッ!と支払ったり、電車の改札を通ったり、パケットやWi-Fiを使わずにテレビを見たり、あと、ひつじの執事がいろいろ案内してくれるiコンシェルとかも…そろそろ「いい加減にしろ」とか言われてしまいそうですね、この辺でやめておきます。
話が逸れましたが、最近は諸事情によりSBMをほぼ寝かせ、ドコモ回線(しかも128k)1本で運用中であることもあって、現在の関心事はWebやコンテンツ関係から、「スマフォにおけるiモードメールの実現方法」へと移っているわけです。

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スマートフォン」というタームは「多機能携帯電話」と説明されることが多く、世の中にはスマートフォンとは携帯電話のすべての機能を内包した、より上位の概念なのだと誤解したまま漠然と憧れや興味を抱く人も少なくなさそうです。それが、普段使っているケータイメールアドレスやサイトが使えなくなるとわかっただけで(時には実機を購入した後になって)奈落の底に突き落とされたような気分になる人もまた、少なくないような。
周知の通り現状のドコモのスマフォでは、10年超の歴史と5000万人に迫るユーザー数を誇る「iモード」が一切使えないわけでして、それがiPhone等に比べてドコモのスマフォが今ひとつ伸び悩んでいる主たる原因であることは、誰の目にも明らかでしょう。特にiモードメールが重要かと思います。もはや第2の携帯電話番号であるメールアドレス。消費者心理的にも、今まで使えていたメアドが使えなくなることへの抵抗感は大きいはずです。MNPの推進においても、メアドのポータビリティが課題となっています(現実的に無理かとは思います…で、代替案としてのSMS相互接続なのでしょうが、SMSへの回帰はグローバルスタンダードへの適応と現状の高機能メールからの後退、という二面性を孕んでいますからね)。「迷惑メール対策への対策」も、iモードメールを多用してきた人にとっては大きな問題です。代わりに利用することになるmopera UメールとかGmailとかは、「ケータイメール以外受信全拒否」のフィルタを設定している相手にドメイン指定をしてもらう手間(相手がiモードならmopera Uについては不要ですが)が発生しますので、「MNPと同じこと」と割り切ってしまうわけにも行かないと思います。
現在ドコモのスマフォをiモード端末からの機種変更で購入している層というのは、そうした手間を厭わないか、手間をかけてでも手に入れたいと考えているほどスマフォに期待しているユーザーなのでしょうが、そうしたコア層だけを相手にしていては、いつまで経っても売れず、新たな需要も拡がらないままであろうことは当のドコモ関係者もおそらく頭では理解していると思います。一昨年「docomo PRO Series」が立ち上げられた頃に取られたスマフォとiモード端末との2台持ちを勧める戦略は、この不景気の中では苦しくなったと思います。
実際、最近のドコモカタログの裏表紙には、HT-03AT-01Aの写真とともにスマートフォン販促施策のことがデカデカと載っていて、「端末購入サポート(2年縛り)」とか「期間限定スマートフォン割」とかの価格的な施策に加え、特に注目されるのは「新規も!機種変更も!」との文言が入っていることです。ここにきて急にスマフォへの機種変更(過去の実績や本格展開開始からの期間の短さを考えれば、既存スマフォから最新機種への変更を意味するとは考えにくいです)を勧めるようになったのは謎です。販売の最前線においても、このところ大型量販店や大きめのドコモショップにはスマートフォン専門の説明員・販売員が配置され、販促にはかなりの力が入っているように思えます。
しかし、一方で相変わらず、店頭のPOPには「この機種ではiモードは使えません!」とデカデカと書かれていることも多く、そこがまた律儀さにかけては業界随一のドコモらしいといえばらしいのですが、この一言で退いてしまい、そのままスマフォを諦める人も少なくないことでしょう。
国内のスマートフォン市場において、ドコモのスマートフォンにおけるiモードメールへの対応というのは、機種変更を考えている既存iモード端末のユーザーはもちろん、ひょっとしたらスマフォに携わる業界全体で実現、解決が望まれている目下最大かつ喫緊の課題なのではないかと思います。iモードメールに対応することで最大手ドコモのスマフォが多くのユーザーを惹き付け、売れるようになれば、市場全体への波及効果は計り知れないものがあるだろうからです。
そのドコモスマフォ期待の星「ドコモ スマートフォン XPERIA」の先日の発表と同時に、ようやくBiz・ホーダイ系がパケ・ホーダイ系に吸収されることになったのは、2台持ち戦略からの転換と直接は無関係かもしれませんが、ともあれこのパケホの統合とXPERIAの発表、前述のスマートフォン拡販施策の過去にない積極さ、必死さとを合わせて考えると、本当に年内に何かやってくれそうな期待感も僅かながらあります。
目下のところ、ドコモはスマートフォンの販促に力を入れれば入れるほど、自社のiモード、とくにiモードメールが使えないというネガティブな面ばかりが強調されてしまうジレンマに陥っていると思うのですが、XPERIAが発表されてからはそれが一層際立っている気がします。固定ファンやブランド信奉者も多いソニー・エリクソン製のスマートフォンということで、注目度・期待度がこれまでとは段違いだからです。
某巨大匿名掲示板をはじめ、XPERIAについて議論を交わす各コミュニティのスレッドは連日大賑わいですが、レスの半分以上はiモードの利用可否に関連するものに思えます。次いでおサイフケータイ、あとワンセグ、特定のiモードサイトやiアプリなども話題に上っているものの、その辺りは諦めている人が多いのか、あるいはもともと必要としていない人たちなのか、それほど熱っぽい議論にはならないようです。他は諦めてもiモードメールだけは欲しい、という声が圧倒的に思えます。
iモードメール非対応を克服する方法としてIMoNiやimotenが紹介されることもありますが、いずれもドコモが保証するものではありませんし、手間もかかる上に、いずれもiモードメールとして完全な形*1にはなりません。あくまで端末本体とPCとでメールを並行して受信し、PCの充実した入力環境からメールを送信できるようにするのが目的のiモード.netの流用ですし、特にセンターメールの削除とかはiモード.netの仕様が変わらない限り、絶対に無理そうです。
スマフォで完全なiモードメールを提供しうるのは、他ならぬドコモダケ…もといドコモだけです。


一方、通常端末と互換性、相互運用性のあるS!メール(MMS)がスマートフォンでも普通に使える(使い勝手はとりあえず置いておいて…)ソフトバンクモバイル。まあ、スマートフォン市場全体に限らず、全端末の機種別販売ランキングでも圧倒的なトップになるほどのヒットとなったiPhoneを擁しているので「SBMのスマフォは大成功」と言ってよいのでしょうが、ほかのWindows Mobile端末や、残念ながら撤退してしまったNokiaのS60端末も含めて早くから全機種がケータイメールに対応済みで、もともとドコモと比べてはるかに売りやすい状態にあると思われるにもかかわらず、端から見ていると相変わらずの継子扱いに見えて仕方ないです。X01SCやX02Tは発売されて2ヶ月になろうとしていますが、買ったという話をあまり耳(目)にしません。はっきり言ってXシリーズの販促については、このところ(というかiPhone発売以降)まったく熱意が感じ取れません。もともとのXシリーズの顧客層がiPhoneに流れているのも影響しているのでしょうし、販売サイドとしても限りある販促のリソースを売れ筋商品に集中させたほうが得策と考えているのでしょうが、とにかくiPhoneとの落差が激しいです。法人向けなどの限定されたニーズのために、Xシリーズの露出はあえて控えめにして細々かつダラダラと続けながら、個人向けスマフォはiPhone一本でやっているようにしか見えません。まあブランド力とか、売る側から見た商品説明のしやすさとかで、WM端末がiPhoneに劣る面も確かにあるとは思うのですが、長くWM端末に触ってきている身としては、ちょっと残念な気もします。
実は自分はこの点でも、ドコモスマフォのiモードメール対応と市場での成功に期待しています。先にも述べたように、AndroidであれWMであれ潜在ユーザー数が多く、しかもiPhoneでない非独占OSのドコモスマフォが売れ筋に浮上すれば、波及効果でXシリーズとかウィルコムイー・モバイルを含めたスマフォ全体の市場拡大・底上げにつながるのではないかと考えているからです。
そういえばiPhoneも最初はMMSが使えませんでしたが、初期にSBMからiPhoneを購入した人は機種変更よりも新規2台目以降(自社・他社ユーザーともに)やMNPが多かったからなのか、メアドの継続性については大した話題にはなりませんでした。それを踏まえてドコモとしても、iモード(メール)非対応の状態でもスマフォを売ることは可能で、しかもiモードが使えないことで逆にガラケーとの2台持ちが推進できると踏んだのかもしれませんが、同じスマフォでもユーザーがSBMSBMiPhoneに求めるものと、ドコモに求めるものは違うはずですから。
とにかく、ドコモ自身によるスマートフォンでのiモードメールへの公式対応は、他社も含めた日本のスマートフォン市場全体の活性化、拡大のためにも絶対に必要不可欠だと思います。

*1:画像添付、本文とSubject:への絵文字の入力と表示、デコメールを送受信ともにクリアし、かつプッシュ受信ができて、iモードセンターにあるメールの削除もできること